奈良団扇(ならうちわ)
奈良団扇は、「夏にうれしい奈良名物」のトップバッター。奈良らしい模様の透かし彫りが、見た目にも涼しげです。夏の奈良旅で気のきいたお土産を探すなら、検討しない手はありません。
奈良団扇とは?
奈良団扇は、色とりどりの和紙に、シカなど奈良にゆかりのある模様を透かし彫りした「うちわ」です。模様は、奈良の人気者・シカをはじめ、正倉院宝物の模様とか、百人一首の歌と絵など。どれも奈良らしい図柄で、お土産にはうれしいですね。
伝統工芸だけに、作るのはこまかい手作業の連続。特に、模様を透かし彫りするのが大変だそうです。それだけに、うちわとしてはちょっとお高め。模様が細かいほど高級になるみたいです。高級品だけに、飾りものかと思いきや、見た目より丈夫で実用的。透かし彫りなので穴があいているわけですけど、そのわりには風がよく来ます。
渋団扇→絵入り→透かし入りへ
奈良団扇の歴史をたどると、奈良時代に春日大社の神職=禰宜(ねぎ)が内職で作った、「ねぎうちわ」という渋団扇にたどりつくようです。でも、今の奈良団扇とはぜんぜん違って、飾り気のカケラもない、骨太で丈夫なものだったとか。そのうち絵を描くようになって、安土桃山時代ころに透かし彫りがはじまったそうです。江戸時代には、もう奈良名物と呼ばれていました。
残ったお店はただ1軒
昔は奈良団扇を作っているお店はいくつもあったみたいですけど、今はたった一軒。三条通りにある池田含香堂です。明治のころ、ここのご主人が透かし彫りの道具を発見して、作り方を研究して復活させたんだとか。建物は新しくて老舗っぽくないですけど、どうせ買うなら、そこらのお土産屋さんより製造元がいいですよね。
奈良団扇は、おしゃれで、図柄も奈良らしくて、歴史もあって・・・・・・名物としてよくできています。夏はもちろんですけど、他の季節でも十分気のきいた「モノのお土産」になってくれそうです。