薬師寺の花会式

薬師寺の花会式

奈良の有名なお寺によくある修二会(しゅにえ)の薬師寺版、通称「花会式」を紹介します。名前のとおり、きれいな造花で飾られた金堂での法要のほか、能や舞楽、お花やお茶の奉納、稚児行列、鬼追式など、関連行事ももりだくさん。

開催日:3月25日~31日 場所:薬師寺

造花で彩られる、薬師寺版の修二会

薬師寺の花会式は、正式には修二会といいます。修二会は、長谷寺や東大寺など、奈良のところどころの古寺でやっている重要な仏教行事で、薬師寺でも1年でいちばん盛大な行事です。

花会式の法要は、他のお寺の修二会と同じように1日6回を毎日行うスタイルですけど、夜・深夜・昼に2回の法要が1セットで続けて行われます。薬師寺がユニークなのは、飾られるきれいな造花。金堂の国宝・薬師三尊像が、10種類の色とりどりの造花で華やかに彩られます。近所に代々住んでいる2軒の家で、全部手作りで作られたもの。薬師寺の修二会が、通称「花会式」と呼ばれるゆえんです。

独特な法要に「参加」

一番有名な東大寺の修二会(お水取り)の法要は、格子窓で囲まれていて見えにくいですけど、薬師寺はオープンな空間で見やすいのも魅力です。さらにユニークなのは、見に行った人も経本を貸してもらって、お坊さんといっしょに声明を唱える「満堂悔過」というスタイル。「見に行く」というより「参加しに行く」という感じです。

その花会式の声明は、ときどき叫ぶようにして唱えたりする、よそとは違った独特な声明です。声明の合間には、ホラ貝や鐘・太鼓が鳴り響く中、お坊さんが刀を持って本尊のまわりを走りまわるなど、ユニークな儀式がいろいろ続きます。

昼間の法要は、拝観中に自由に見られるほか、夜の法要は、始まる前に門のところに集まると、無料で入って参加できます。

関連イベントいろいろ

花会式では、法要以外にも、毎日昼過ぎにいろいろな奉納行事が行われます。法要を勤める練行衆といっしょに、カラフルな着物で着かざったお稚児さんたちが行列する稚児行列、お香・お花・お茶の奉納、舞楽・能・太鼓の奉納、中には太極拳の奉納なんていうものまで。日本の伝統芸能のオールスタープラスちょっとした国際色、という感じでしょうか。回廊ではお茶席もあって、祈願料を払って招待状をもらった人はお接待を受けられます。

最終日の「最終回」終了後、夜8時半から「鬼追い式」が始まります。節分の行事「追儺会(ついなえ)」と同じようなもので、鬼が出てきて毘沙門天が退治する、という流れ。ただ、5匹の鬼の暴れっぷりがかなりのもので、ステージの柵に登ってたいまつをたたきつけたり、「観客」に向かって投げたりと、けっこう危険でヒートアップするイベントです。奈良によくある「火のイベント」のひとつ、と言えるでしょう。

薬師寺の花会式は、伝統の法要だけでなく関連イベントも充実した、なかなか楽しめる行事。ユニークな法要、華やかな伝統芸能、白熱の鬼追い式など、いろいろな要素がつまっています。きらびやかな建物や貴重な仏像など、ふだんから魅力いっぱいな薬師寺ですが、花会式に合わせて行けば、まる1日じっくり楽しめるでしょう。

名所ガイド:薬師寺
薬師寺へのアクセス

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