新薬師寺の修二会(おたいまつ)
迫力ある「おたいまつ」を目の前で見られる、新薬師寺の修二会(しゅにえ)を紹介します。伝統の声明を唱える法要を、間近で見られるのも魅力。
開催日:4月8日 場所:新薬師寺
まずは「夕方の部」の法要から
新薬師寺の修二会は、「おたいまつ」の呼び名で親しまれている、新薬師寺で最大級の行事。
夕方5時になると、国宝の本堂で、奈良時代から伝わるという伝統の声明を唱える法要が始まります。終わると、いったん休憩に。修二会の日は、夕方5時を過ぎると拝観料がいらないので、おたいまつを見るために場所取りをする人で、本堂前に人垣ができていきます。
目のまえを通る「おたいまつ」
夜7時ころ、いよいよ「おたいまつ」の始まり。1本ずつ左から本堂の前に進んできて、正面で「奉納」して、右に通り過ぎていきます。
東大寺のお水取り(修二会)と違って、すぐ目の前で見られるので、前列にいるとかなりの迫力。正面に来たとき、おたいまつを軽く振ったりすると、火が噴きあがって「おおー」とどよめきが起こります。ふつうのおたいまつが10本過ぎて、最後にひときわ大きな「籠たいまつ」が登場して、さらにド迫力。
東大寺より見やすい法要
おたいまつが終わると、本堂で2回目の法要が始まります。本堂に入って見学できるので、ぜひ見てみたいところ。新薬師寺は東大寺と同じ宗派で、東大寺からもお坊さんが「応援」に来ています。法要の内容も、全国の神様の名前が書かれた「神名帳」を読みあげたり、東大寺と同じ内容もあるようです。
ただ、東大寺の二月堂が、狭くて中が見えにくいのに比べて、新薬師寺は開けた空間でよく見えます。東大寺が夜中まで続くのに対して、1時間半くらいで終わるのも、気軽に見学できていいですね。
新薬師寺の修二会は、東大寺とよく似ていながら、時間も規模も小さい「縮小版」といった感じ。最近は見にくる人が増えてきたといっても、まだまだ少なくて、おたいまつも法要も間近でじっくり見られます。ただ、本当に目のまえでおたいまつを楽しみたいなら、5時前に「入場待ち」をした方がいいでしょう。
修二会の時期は、例年境内の桜がきれいです。奈良各地のお寺で花祭りをやっている日なので、昼間は花祭り、夜は新薬師寺の修二会と、1日を通して「春の法要めぐり」を楽しめます。