法隆寺のお会式
独特なお供え物が華やかな、法隆寺の「お会式」を紹介します。聖徳太子の命日の法要で、雅楽に合わせて、聖徳太子の徳をたたえる声明が響く、独特で神秘的な法要です。
開催日:3月21日~24日 場所:法隆寺聖霊院
独特なお供え物と法要
法隆寺のお会式は、聖徳太子をまつる聖霊院で行われる、法隆寺でもかなり大きな行事です。10年に1度の「大会式」では、舞楽の奉納や練り行列などがありますが、そのほかの年はひっそりした法要のみ。ジミな行事ですが、いろいろと法隆寺独自なものがあって興味深いです。
お会式でまずおもしろいのは、お供え物。柿・ギンナン・寒天など、いろいろな食べ物を三宝の上にきれいに高く積み上げて、固めてあります。パッと見、食べ物には見えません。その両側には、これまた食べ物でできた、逆円錐形の巨大な「大山立」が立っています。大山立の上には、米粉でできた「鳥」が長い竹の先に付いたものがたくさん刺さっていて、空を飛びまわっているような格好。とにかく、めずらしくて、なかなかゴージャスな眺めです。一見の価値あり。
法要自体は、ハデさはないですが、独特なめずらしいスタイル。雅楽の響きに乗せて、声明を唱えます。聖徳太子の徳をたたえる文を読んだり唱えたりするのも、命日の法要ならではだし、一部、「裏声」で唱え続けるようなところもあって、法隆寺独特なものだとか。
秘仏・聖徳太子像を見るなら
聖霊院自体は年中お参りできますが、いつもは閉まっている、聖徳太子その他の像が安置してある内陣の扉が、この期間だけ開きます。せっかくなので拝みたいところですが、手前のお供え物があまりにも大きすぎて見えません。
ただ、22日から始まるお会式の「前夜祭」にあたる、21日夜の「逮夜(たいや)」の法要のときだけは、まだお供え物がないので、特別に拝ませてもらえます。逮夜でも、雅楽つきの声明は聞けるし、お供え物のかわりに聖徳太子像を見たい!という人は、21日夜に行ってみるといいでしょう。
法隆寺に露店が出るめずらしい眺め
お会式の期間は、境内に露店が出てにぎわいます。いつもは土塀が続いて落ち着いた感じの通りが、このときだけは「お祭り」らしいムード。法隆寺に露店が出ること自体お会式のときだけなので、これもめずらしい眺めです。いつもは閉まっている塔頭(たっちゅう:境内にある小さなお寺)を、特別にお参りできたりもします。
法隆寺のお会式は、比較的ジミなものの、法隆寺独特なお供え物や声明を体感できる、貴重な機会です。雅楽と声明の雅やかなコラボレーションも味わえます。いかにも、どこよりも歴史の深い法隆寺らしい行事です。