興福寺
奈良公園の「入り口」ともいえる興福寺をご案内。奈良のシンボル・五重塔があります。奈良公園の玄関口・近鉄奈良駅から近くて、気軽に寄れるのも魅力。
猿沢池(さるさわのいけ)
興福寺境内の南側にある池。ここから見る五重塔は、奈良でいちばん絵になる景色のひとつ。
絵はがきやガイドブックなどでよく紹介される景色なので、一度くらい見たことがあるのでは。景色は有名なのに、なぜか観光客はそんなに見かけません。カメやカモがのんびり泳いでいたりして、ちょっとした「穴場」といえそうです。
近鉄奈良駅から興福寺への最短ルートからは外れますけど、遠回りしてでも猿沢池に寄ってから興福寺に向かうのがおすすめ。
五重塔
興福寺はもちろん、奈良全体のシンボル的存在。高さ50mで、京都の東寺の五重塔より少し低いものの、周りの環境が違うせいか、また違った雰囲気があります。
奈良時代に建てられてから、5回も火事で燃えながらも再建されてきました。五重塔がない奈良なんて考えられませんけど、昔の人もそんなふうに思って再建してきたのかもしれませんね。
東金堂
五重塔のとなりにある、いかにも奈良らしい雰囲気をただよわせている建物。興福寺に国宝建築はいくつかありますけど、拝観できるのは東金堂だけ。室町時代に再建されました。
「奈良らしい雰囲気」のヒミツは、屋根にあります。両サイドの屋根がいちばん上の「棟(むね)」まで伸びている「寄棟造り(よせむねづくり)」。京都のお寺にはあまり見かけないですけど、奈良ではメジャーなスタイルです。奈良時代からある唐招提寺の金堂を参考に作られたもので、これも「奈良らしさ」の理由ですね。
ご本尊は重要文化財の薬師三尊像。ほかに国宝の文殊菩薩や四天王、十二神将(じゅうにしんしょう)などがあります。
拝観料:大人300円
南円堂
五重塔から境内をはさんで反対側、地味な色の建物ばかりの興福寺で、鮮やかな朱色のお堂が目をひきます。八角形の「八角円堂」というスタイルもおもしろいです。
興福寺の中でも、南円堂のまわりは建物が集まっていたり、赤いのぼりで飾られていたり、どことなく華やかな感じ。南円堂は西国三十三ヶ所(さいごくさんじゅうさんかしょ)の札所になっていて、札所めぐりの人もよくお参りに来るし、とくに信仰を集めています。
ふだんは扉が閉まっていて中は見えませんけど、一年に一度、10月17日だけ特別に中を拝むことができます。
国宝館
興福寺は、国宝の仏像がたくさんあることでも有名。貴重な仏像などを守るために、昭和34年にできた鉄筋コンクリート製の建物。
なかでも一番人気は、なんといっても阿修羅像。日本一ファンの多い仏像かも。阿修羅像を「恋仏」にしている人も多いんじゃないでしょうか。たしかに、6本の腕がつくるフシギな「リズム感」と、なんともいえない哀しげな表情など、心惹かれるところの多い仏像です。
そのほかにも、まあたくさんの国宝・重要文化財の仏像などが見られます。そんなに広くありませんけど、仏像好きな人はたっぷり時間を取りたいところ。
拝観料:大人600円