長谷寺
四季折々の景色が人気の歴史あるお寺、長谷寺をご案内。山あいの斜面に広がる境内は眺めがよくて、西国三十三ヶ所の札所なこともあって、いつもにぎわっています。
拝観料:中学生以上500円
登廊(のぼりろう)
堂々とした仁王門を入ると、ゆるやかな石段が本堂まで続いていますけど、399段もある石段には、なかなかいいフンイキの屋根がずっと付いています。登廊と呼ばれていて重要文化財です。風流な感じの灯籠もぶら下がっていて、石段・柱・梁・灯籠がリズミカルに続いているのは絵になります。
登廊の両側は、ボタンがたくさん植えられています。4月末から5月にかけての花の時期には見事。1年を通していろいろな花が咲く長谷寺で、一番有名なのはやっぱりこのボタン。
本堂
登廊の石段を登りきると見えてくる、巨大な建物。斜面からせり出しているので、ふもとの参道のあたりからもよく見えます。別名「大悲閣」とも呼ばれて、国宝。
奈良時代にできてから、今までに7回火事にあうなど繰り返し建てなおされていて、今の建物は江戸時代初めにできたもの。正堂(しょうどう)と礼堂(らいどう)、そのあいだをつなぐ石の間からできているほか、正堂と礼堂で屋根の向きが違ったりして、かなり複雑なつくりになっています。何回も建てなおされていることと、江戸時代初めころに流行ったスタイルの影響もあるんじゃないでしょうか。同じころに作られた京都の北野天満宮や日光東照宮なども、複雑なつくりが特徴になっています。
礼堂の手前は、京都の清水寺などと同じく舞台造になっています。急な斜面の上に建っていて、しかも前にせり出しているので、眺めは抜群。境内から初瀬川に面して伸びる門前町などが見わたせます。桜や紅葉の時期はまさに絶景。
正堂には、本尊の十一面観音が立っています。巨大な仏像で、思わず「おおー」と声が出るほどの迫力。高さは10m以上もあって、文化財に指定されている中では、日本最大の木造の仏像だとか。
五重塔
本堂の舞台から見て右に見える、朱塗りの鮮やかな塔。本堂から山沿いをまわっていったところに建っています。昭和29年にできたもので、歴史はないものの、鮮やかな朱色と檜皮葺の屋根がまわりの景色と調和して、なんともいえない風景です。
五重塔の周辺は、長谷寺発祥の地で「本長谷寺」と呼ばれるところ。建っていた三重塔が明治時代に火事で燃えて、そのかわりに建てられたものです。新しい建物ですけど、それを感じさせない落ち着いた雰囲気を持っていて、境内の景色のいいアクセントになっています。
法起院(ほうきいん)
長谷寺駅から長谷寺に続く参道は、古い建物が続くいい町並み。おみやげ屋や名物の草餅のお店が並んでいつもにぎわっているなかで、その途中にひっそりと建っている小さいお寺が法起院。長谷寺を開いたうちの一人、徳道上人がまつられていて、長谷寺の開山堂でもあります。
門を入った正面にある本堂には、徳道上人が自分で作った徳道上人像がまつられています。「自分で自分の像を作ってまつる」というのが、ちょっとフシギな感じもしますね。狭い境内にはいくつもお堂が並んでいて、徳道上人のお墓もあります。
徳道上人は、西国三十三ヶ所観音霊場を開いた人。なんでも、病気で瀕死の状態になったとき、閻魔さまと会って、西国三十三ヶ所を作るように言われてこの世に戻されたとか。