風情ある吉野のお寺たち
吉野の尾根上を行く「メインストリート」沿いに点在する、小さいけれど風情あるお寺をご案内。どれも規模は大きくないですけど、名庭園などそれぞれオリジナリティーを持っていて、立ち寄りながら吉野散策を楽しみたいところ。
より大きな地図で 金峯山寺の塔頭寺院 を表示
東南院
金峯山寺を過ぎて少し歩いたところ、吉水神社へ曲がる角の手前右側にあります。メインストリートから小さめの門を入ると、建物がいくつか建っていて、にぎやかな通りに面しているわりにはひっそりとした感じ。
門の正面が本堂ですけど、それより目につくのは右のほうにある多宝塔。檜皮葺き(ひわだぶき)のシックな屋根に赤い欄干が鮮やかで、なかなかおしゃれな建物です。もともとは紀州にあったもので、昭和12年に東南院に来たそうです。東南院いちばんの見どころと言っていいでしょう。
「東南院」という名前の塔頭(たっちゅう:大きなお寺の境内にある小さなお寺)は、東大寺などいろいろなお寺にあります。大きなお寺を建てるとき、その名のとおり、本堂など中心になる建物の東南(巽・たつみ)の方角に東南院を建てて、発展を祈る習慣があったとか。ひっそりしていますけど、金峯山寺にとって重要なお寺なんですね。
アクセス
近鉄吉野駅のりかえ(徒歩3分)千本口駅からロープウェイで3分
吉野山駅から徒歩15分
近鉄吉野駅から徒歩35分
金峯山寺から徒歩4分
喜蔵院
金峯山寺から続くにぎやかなおみやげ屋街を進んで、分かれ道を右へ行くと、町並みが途切れて落ちついた道になります。急坂を登りきって、最初に左に見えてくるお寺が喜蔵院。風格ある門を入ると、正面に本堂があります。小さいお寺だし、建物もあまりないですけど、本堂の左側は景色を眺められるようになっているのと、修験道のお寺のフンイキを楽しんでいきたいところ。
吉野のこういうお寺はみんな宿坊をやっていて、喜蔵院は以前ユースホステルもやっていましたけど、今は普通の宿坊だけになっているようです。
アクセス
近鉄吉野駅のりかえ(徒歩3分)千本口駅からロープウェイで3分
吉野山駅からバスで7分
「竹林院前」下車徒歩4分
※バスは桜の時期運休
吉野山駅から徒歩25分
近鉄吉野駅から徒歩45分
金峯山寺から徒歩15分
桜本坊
喜蔵院を過ぎて風情ある町並みを歩いていくと、左にあるお寺。道沿いに立派な築地塀(ついじべい)が続いているし、門も立派で、吉野の小さなお寺の中ではいちばん充実している感じ。境内には本堂や聖天堂・大師殿など建物が並んでいて、重要文化財の仏像もあります。
桜本坊は、飛鳥時代に天武天皇が建てたと言われています。なんでも伝説では、天武天皇がまだ大海人皇子(おおあまのおうじ)だったころ、ここにあった離宮で、冬に桜が咲く縁起のいい夢を見て、次の年に壬申の乱に勝って天皇になれたとか。ちょっとしたお寺にも飛鳥時代の伝説が残っていたりして、吉野の歴史の深さを実感できますね。
アクセス
近鉄吉野駅のりかえ(徒歩3分)千本口駅からロープウェイで3分
吉野山駅からバスで7分
「竹林院前」下車徒歩2分
※バスは桜の時期運休
吉野山駅から徒歩30分
近鉄吉野駅から徒歩50分
金峯山寺から徒歩20分
竹林院
桜本坊のすぐ先の右側にあります。竹林院の宿坊は本格的な旅館になっていて、全体的な見た目も、お寺というより「山門つきの旅館」。旅館の建物に挟まれた「山門」をくぐると、右におもむきある「旅館パート」の玄関があって、その左脇にひっそりと「お寺パート」の入り口があります。
「お寺パート」のほうでは、庭園「群芳園」が有名です。千利休が造ったといわれるお庭で、大和三名園の1つ。四季折々に風情のある落ち着いた庭園ですけど、「桜の吉野」らしく、春は池のほとりにしだれ桜が咲き乱れて、特に見事です。竹林院自体は、なんと聖徳太子が開いて、空海がいたこともあるという由緒正しいお寺ですけど、お寺らしい建物といえば、庭園の入り口にあるささやかな本堂だけ。
アクセス
近鉄吉野駅のりかえ(徒歩3分)千本口駅からロープウェイで3分
吉野山駅からバスで7分
「竹林院前」下車徒歩1分
※バスは桜の時期運休
吉野山駅から徒歩30分
近鉄吉野駅から徒歩50分
金峯山寺から徒歩20分