金峯山寺
吉野全体の中心となるお寺、金峯山寺をご案内。巨大な仁王門と蔵王堂の迫力に、「修験道の聖地」を実感できるほか、南北朝時代のエピソードの舞台でもあります。
銅(かね)の鳥居
ロープウェイの駅のほうから歩いていくと、参拝客を迎えてくれる堂々とした立派な鳥居。太くどっしりした柱など、ひとつひとつのパーツが巨大で、見上げて思わず「おおー」という感じ。「巨大なお寺」金峯山寺の入り口にふさわしい迫力です。
東大寺の大仏を造った余りの銅で作った、と伝わっていますけど、今あるものは室町時代にできたそうです。それでも重要文化財。安芸の宮島・大阪の四天王寺とあわせて「日本三鳥居」のひとつです。
仁王門
おみやげ屋や宿が並ぶにぎやかな参道の正面に見えてくる、これまた巨大な2階建ての門。堂々とした巨大な門が、さらに石段の上に建っているので、またもや見上げて「おおー」。室町時代に建てなおされたもので、こちらは国宝です。
ふつうのお寺では、門を入ると正面に本堂があったり、正面じゃなくても左か右に曲がるくらいですけど、金峯山寺の場合本堂である蔵王堂とは「背中合わせ」。仁王門は北から吉野へ来て熊野古道へ向かう人を迎えるため、蔵王堂は南から熊野古道を通って吉野に来た人を迎えるために、こういう向きになっているんだとか。
蔵王堂
金峯山寺の本堂。仁王門よりさらに巨大です。なんでも、歴史ある建物の中では、東大寺大仏殿に次いで2番目に大きいそうで、国宝。2階建てっぽく見 えますけど、下側の屋根は「裳階(もこし)」という巨大なひさしです。少し離れて眺めると、檜皮葺き(ひわだぶき)の屋根が上品な感じもする一方、中は、 自然の木をほとんどそのまま使った太い柱が並んでいて、「修業の場」の厳しいフンイキ。
本尊は、修験道の神様・蔵王権現(ざおうごんげん)。高さ6~7メートルもある巨大な像が3体あって、重要文化財ですけど、残念ながら秘仏なので普通は見られません。最近は特別にご開帳されることが多くて、ポスターなどで青い体のド迫力の像を見た人も多いんじゃないでしょうか。本尊の他にも重要文化財の蔵王権現像があって、こっちは拝観料を払えばいつでも見られます。4m以上の巨像で、本尊よりも古いとか。
拝観料:大学生以上500円
四本桜
蔵王堂前の広場に、石の柵で囲まれたところがあって、4本の桜の木があります。鎌倉時代の終わり、鎌倉幕府と戦った大塔宮護良(だいとうのみやもりなが)親王が、幕府軍に追われてここを最後の「城」にしていたとき、最後の宴会を開いた場所だとか。
修験道の聖地なだけじゃなくて、武士の時代のエピソードもある。吉野の歴史の奥深さを感じる場所です。